ガラタサライの憂鬱   Vol.2 Hava (空気)
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ふたつ目の問題はチームを流れる空気だろう。
また会社の喩えで申し訳ないが、その会社が儲かっているか、そうじゃないかは
入口を入ってみてすぐにわかる。うまく回っている会社は明るく、社員の表情も
生き生きとしている。対し、そうでない会社には、えも言われぬどんよりとした空気が
漂い、決して笑顔などない。

以前ガラタサライの練習を見た時、チームのメンバーは非常に明るかった。
時折爆笑まで聞こえ、選手達はおどけ、怪我への注意力にも欠け、よく監督は
注意しないものだと思うほどだった。
「これはまずいな」
と、私は思った。
明るいのは大いに結構!負けがこんでても、チームが下り坂でも、わざわざ
しかつめらしい顔をする必要はない。笑う門に福来る!と思う。
・・・が、この明るさは何かが違っていたのだ。
現状を受け止め、自分なりにもがき、昇華した上での明るさじゃない。
勝利への執着を忘れ、負ける事の羞恥に慣れた「単なるサッカー同好会」。
実にあっさりとした時間と空気が流れていたからだ。
そして直後の試合で、ガラタサライは格下相手のチームに大苦戦の末辛勝。
内容的には完全に相手チームの方が勝っていた。

幾度か、ガラタサライのチーム内部での確執が取り沙汰されたことがある。
イスラムに信心深いメンバーと、(主にドイツ育ちの選手を中心とした)そうでない
メンバーとに分かれているというものだ。けれど、これは大した問題ではないと
私は思う。(チームが下降して来ると、面白可笑しく、それらしい事を書き立てる
メディアの性質も鑑みて)
どんな組織にでも、生身の、しかもギャラの異なる人間が集まる限り、大なり
小なり確執や意見の衝突は必ずある。
「優勝」というひとつの目標が共通項だとしても、それがギャラアップの手段でしか
ない選手もいれば、名誉・達成感を重んじる選手もいるだろう。価値観の違いも、
チームが勝ち進んでいれば互いに「優勝」という事だけを見つめて走れる。
けれど、負けが込んで来ると「あいつは自分の事しか考えてない」だの
「チームの為だなんて、偽善ごかすなよ」だの、よからぬ考えが生まれ、ひいては
「信心深くないからそうなんだ」とか、「神だの宗教だの言ってるから~なんだ」
という事にまで発展して行くのではないだろうか。

つまり、当たり前の事なのだが、勝ち続けていれば自然とチームを流れる空気は
良くなる。感情の新陳代謝も上手く行き、勝利が勝利を生むようになる。
それが、負けが染み付くと、疫病神はなかなか離れなくなる。
そして普通人間は、その原因を他人やクラブに押し付けたくなるものだ。

1度も負けるなとは言わない。100年もやっていれば、良い時も悪い時もある。
けれど、負ける事に何も感じなくなったらお仕舞いだ。「ガラタサライ」として、
恥ずかしい試合を見せてはいけないと言う事を忘れて欲しくない。
それは何も、常に全力を尽くせという事ではない。
「抜く」ことと、「抜け切る」ことは全く違う。
むろん、これは選手達だけが悪いのではなくて、「チームに忠義を尽くそう!」
という方向に、持って行けないクラブや指導者にも問題があるのは先に述べた通り。
また、外からは判り得ない色々な要因もあってのことだ。

来年の記念すべき100周年を、UEFAの優勝カップを眺めながら
「あの頃は良かった」
という懐古趣味なものだけで迎えて欲しくない。
それはとりもなおさず、選手達自身が一番心に秘めている事だと、信じたい。
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# by arif6 | 2004-04-24 19:39

ガラタサライの憂鬱    Vol.1  Para Para Para (カネ カネ カネ)
来年、ガラタサライは創立100周年を迎える。
数多くの名選手、名勝負。輝かしい栄光を刻んで来たこの100年は、ガラタサライの
誇りでもあり、そのままトルコサッカー、支えて来た選手達の誇りでもある。
多くの古参スター選手たちはこの記念すべき節目に拘って、頑張っている。
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しかし、この華々しい表舞台とは打って変わって、その内部では綱渡りが続いているといっても過言ではないだろう。
まずひとつめは周知の事実である資金難。
資金調達の約束を取り付けていた銀行に騙されただとかのゴシップはいいとして、
莫大な借金のため、ホーム・アリサミエンスタジアムの改築も頓挫。その期間中
借り続ける予定だったオリンピヤットスタジアムの風防(ものすごく風の強い広大な
場所にあるため)さえも、作れなかった。
そして、スター選手たちの高額な年棒。
トルコ人の友人にこんなことを言われたことがある。
「あなたには悪いけれど、私はガラタサライが好きじゃありません」
「ガラタサライの選手達はいつも『お金・お金・お金』です。クラブが火の車で、
年棒の減額を提示しても誰も受け入れません。以前、その足りない選手の
ギャラをテリム監督がポケットマネーから補填していました」
「本当にチームと監督を愛してるなら、そんなことは出来ない筈です。彼らは
サッカーやガラタサライが好きなのではなくて、お金が好きなだけなのです」
私は、なるほど。それも一理あるな。と思った。
彼女は特にアンチ・ガラタサライでもなく、贔屓のチームがあるわけでもない。
勿論私も、彼女の意見に100%賛同している訳ではない。(まず第一に、
テリム監督のギャラが多くの選手のギャラを補填出来るほど高額だとも思えない。
まあ、一部を気持ち・・・ということなのだろうが)
しかしながら、お金の為にサッカーをして、出来るだけ多くのギャラを得たいと思うのは、至極当然の事だと思う。
また彼女の言うように、ガラタサライを愛しているのなら、臨機応変に対応して然るべきだ。という意見も尤もだと思う。
それは個々の価値観に依る。
勿論、全ての選手が自分の意見を押し通した訳ではないだろう。(ビュレントなどは、
「ガラタサライでプレイ出来れば、ギャラの額は問題じゃない」と言っている)
ただ、前テリム監督が多くのスター選手を切り、若い選手を育てようとしていた
裏には、スター選手たちの「高額なギャラ」という問題が少なからずあったのではないかと思う。

資金難・経営の問題というものは、そのまま社員(選手・スタッフ)に動揺が伝わるものだ。
家庭でもそうだろう。(笑)お金が潤沢にあれば大抵の事は目を瞑れるものだし、
窮してくると普段は問題にならないことが「大問題」になって来る。そしてその動揺は、
プレーを通して確実にファンに伝わる。ファンが去ってしまえば、スポンサー共々離れ、肝心な資金調達も難しくなる。
今、ガラタサライに必要なのは名監督以上に、緻密に計算が出来、資金調達能力の
あるビジネスマンなのではないだろうか。サッカーがエンタティメントで夢を与える
ものであるならば、尚更だ。
「お金がない!」なんてシケた話は、自分の家の中だけにして欲しいと、多くの
トルコ庶民は思っている筈だろうから。
(*サッカー選手が法外なギャラを貰い過ぎだ!と、お怒りの方々が多いのも事実)
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# by arif6 | 2004-04-24 19:19

202日目のおめでとう
a0014770_1905.jpgいつ頃からだろう。
アリフがゴールを決めても、笑わなくなったのは。

昔のアリフといえば、ゴールを決めた後全身で喜びを迸らせ、子供のような破顔の
笑顔が印象的だったのに。

ゴールが別段嬉しくない年になったのか?

いや、勿論ゴールを嬉しくない筈はないだろう。
むしろ、笑いたくても「笑えない」と言ったほうが正しいのだと思う。
何故なら、アリフがゴールを決めてもあまり笑わなくなったのは、ガラタサライが
少しづつ長い下り坂を下り始めた頃とリンクする気がするからだ。

ああ見えてアリフは、常に回りに気を配る実に繊細な神経を持っている。
その場その場で自分の役目というものを悟り、臨機応変に対応する。
アリフの繊細さ(悪く言えば、気の小ささ)を証明する、ある事件がある。
アリフが憧れ続けた欧州でのデビューの晴れ舞台・レアルソシエダでの
入団会見のその日。
アリフは急性胃炎で倒れ、救急車で運ばれ即入院した。
もうひとつ。
100ゴールまであと1ゴールとなってから、実に4ヶ月もの間、あと1本が出ずにいた。
100ゴールを決めた後のアリフの顔は、喜びというより「安堵」の表情だったのが
印象に残っている。
会心のゴールを決められていない。
というのと、
自分の役目を果たし切れていない。
そして、今のチームの状態。
そんな思いが常にアリフの脳裏に存在し、心からの笑顔が出て来ないのではないだろうか。
(チームメイトがゴールを決めた時は、本当にいい笑顔で、抱き締めてあげているのに!)

そして、昨日。
昨年10月4日にアクチャバトセバト戦でゴールを決めてから、202日ぶりにアリフはゴールを決めた。
これもペナルティでのゴールだから、アリフにすれば「笑えない」ゴールなのだろう。
ほんの少し口元を綻ばせたものの、すぐにきゅっ!と、いつもの引き締まった表情に
戻っていた。

戦線離脱を命じられてから、長いトンネルを抜け、先発出場を経て、そして昨日の
ゴール。息を弾ませながらの試合後のインタビューで、アリフは思ったよりも
晴れやかな表情だった。
どんなゴールであれ、それでチームを勝利に導き、何よりガラタサライの
ユニフォームを着てプレイ出来る事の喜びを、アリフは噛み締めていたに違いない。

私もいつか再び、アリフの破顔の笑顔を見れる事を願いつつ、
トルコに向かって

「Arif Tebrikler!」 (アリフ、おめでとう!)
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# by arif6 | 2004-04-24 19:01

選手達は試された
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アウェーの試合において、ずっと勝ち点3から見放されていたガラタサライが、
昨日マラテヤを1-2で下し勝利をもぎ取った。

先発には、前テリム監督から戦力外通告をされていたキャプテン ビュレントや、
バリッチ、ハカン・ウンサルが。そして、怪我で戦線離脱していたエルギュン、
ウミット・カラン、ハサン・シャシュなど錚々たるメンバーが名を連ねた。

しかし、前半からチグハグなプレイが目立ち、0-0のまま終了。
後半ウミット・カランがやっとゴールを決め1-0。このまま逃げ切るかと思われたが、
マラテヤのアティッラにDFをかわされ、同点ゴールを決められる。(このパターンが最近のガラタの悪い癖)
ここで、モチベーションが落ちたかと思われたが、ゴール前でウミット・カランが
ペナルティを得、これを後半入ったアリフが手堅く決め、そのまま終了した。

ASLAN ÇOCUKLAR GİBİ(アスラン(ガラタサライ) 子供達みたい) Milliyet紙
Aslan’da Ümit var (アスランに希望が) Star紙

という文字が各誌に躍った。
はっきりいって、こんなタイトルは今までのガラタサライではありえなかった。
何故なら勝つのは当たり前だったからだ。
それが今では、ファンや関係者はハラハラしながら試合を見守っている。
ゴールを決められるのかどうか?
決めたとしても、守り抜けるのかどうか?
と。

この夜、選手達は試された。
今季もう優勝はあり得ないガラタサライ。ハジ監督は来期を睨んで、
出来るだけ多くの選手達をピッチに送り出した。
それは、今季の残りの試合の様子を見て、来季指揮を執るかどうか決めると
言われているハジ監督の、自身への問いかけでもあったのではないだろうか。
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# by arif6 | 2004-04-24 18:47

聞いたことがあるような答え  「そこにアリフがいたから」
a0014770_167.jpg「何故、アリフなのか?」

と、よく聞かれる。
日本でも、トルコでも。
「何故、ガラタサライが好きなのか?」
と、聞かれた事はない。
一度も。
最近のガラタサライの忌々しき状態は別として、「今までの実績」を鑑みると
「トルコサッカー=ガラタサライ」
という事実は疑いようがないからだ。(良いか悪いかは別物として。他チームファンの方、ごめんなさい)
その点、アリフはイルハンみたいにワールドカップでブレイクしたわけでもない。
チームメイトのハカン・シュキュルみたいに、圧倒的な実績を持っているわけでもない。

私も最初はアリフのファンじゃなかった。
同じチームのウミット・ダバラが好きだった。けれど、色々調べたりしているうちに、
元々少しは気になっていたアリフの存在がどんどん大きくなって行った。
知れば知るほど、その魅力に引きずりこまれた。
そう。
「引きずり込まれる」
のだ。
アリフ・エルデムという人は、そういう人だ。
クールに眺めている事をさせてはくれない。

昔から、有名人には興味がなく、騒いでいる人たちをどちらかといえば
冷めた目で見ていた私。お陰で今
「大人になって罹ったおたふく風邪みたいね?」
と言われている。
自分でもそう思う。(苦笑)

知人には早くからサイトを作る事を勧められていたけれど、
自信がなかった(管理できるかどうか・それ以前に作れるのかどうか?)
のと
怖かった(言葉は難しい。人には色々な考え方があるので、伝わり方が自分の意とした事と
違う方に解釈される事など)
ので、その気は無いに等しかった。
本当は、ずっと密かに病を進行させて行こうと思っていたのだけれど、
自己満足の極みで何かを残したい。
と、思い立ち、このサイトを作りはじめた。

話を元に戻そう!

何故、アリフなのか?

このサイトを通して、少しでも分かってもらえたなら。
そして、さらに引きずり込まれるような事を、
私自身も知ることが出来たなら。

「何故、アリフなの?」

そう尋ねる人がまたひとり、減ったことになる。
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# by arif6 | 2004-04-21 02:00

はじまり
私がトルコに初めて行ったのは、ガラタサライがキリンカップで来日するよりも、大分前だった。
それまでは、ガラタサライ位は知ってはいても、まさかトルコに「観戦のために」
足を運ぶようになるなどと、自分自身でさえ予想していなかった。

それが、ご多分に漏れず、ワールドカップで観たトルコの
「常に・何が何でも・前へ」
という、荒削りだけれどパワフルなサッカーにすっかり魅せられてしまった。
「大好きなトルコのチームだから」
というのもあっただろう。
その「トルコのサッカー」の裏側に、今のトルコの持つ様々な顔を垣間見たからかもしれない。
否何よりも、激しいプレイの後に見せる、選手達のフレンドリーな立ち居振る舞いに、
懐かしいトルコの香りを感じたからに他ならなかった。



「懐かしい・・・」
初めてトルコに降り立ってアナトリアの荒涼とした大地を見た時、
何故だか無性に「懐かしさ」を感じた。
かつて、同じ風景を見た事があった訳ではない。
厳密には・・・見た事があったのかも知れない。「わたし」が生まれる前に。
それまで20数カ国旅をしていたが、何処の国に行っても、そんな事を感じた事はなかった。
胸が締め付けられるような郷愁。この風の肌触り、におい・・・。
黄昏から、夜へと移る様を刻々と映し出す大地。何故か私は
「帰ってきた」
・・・そう思ったのだった。

そしてその夜、大音響がして、驚いて目が覚めた。
ホテルの窓を開け放つ。冷たい風が流れ込む。
蒼白い月光が煌々と、まだ眠る街を照らしていた。
それは、生まれて初めて聞く、明け方のエザーンだった。
物悲しい、けれど、冴えわたる声が、澄んだ空気に染み込んで行く。
何故か、涙が止まらなかった。
私は窓辺にひざまづき、ほろほろと涙を零した。
眠りに横たわる街の中で、祈りを捧げる為に目を覚ます人々のように、
私の中でも、何かが呼び覚まされた瞬間だった。

そんな勝手な思い込みに背中を押されて、私のトルコな日々は始まった。
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# by arif6 | 2004-04-21 01:38


"クサ クサ"と読みます。  トルコ語で短信、つれづれ・・といった所でしょうか。          トルコやトルコサッカー、管理人のタワゴトを、ぼちぼちと・・・。宜しくお付き合い下さい。  :) 
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